2024.10.30

パソコンを構成する半導体デバイスを種類ごとに解説

  • 電子デバイス部門

私たちの日常生活に欠かせない半導体。しかし、半導体と一言で言っても、実はさまざまな用途で使用されており、その種類は多岐にわたります。今回は、「何がどの役割を担っているのかわからない」という方に、基本的な原理や役割を解説し、さまざまな種類や機能を持つ半導体について説明します。

目次

    半導体とは?

    基本的な定義と用途

    半導体とは、ある一定の条件により電気を通したり、通さなかったりする性質を持つ物質です。例えば、金属は導電性が高いため「導体」と呼ばれ、電気をよく通しますが、プラスチックやガラスは導電性が極めて低いため「絶縁体」と呼ばれ、電気を通しません。これを「絶縁性」といいます。つまり、半導体は導体よりも導電性が弱いですが、絶縁体よりは強いという性質を持っています。
    半導体は、私たちの暮らしに欠かせない存在となっており、スマートフォンやパソコン、さらには自動車や家電製品に至るまで、私たちの日常生活に深く関わっています。私たちの身近にある製品に使われている半導体は、実は目的ごとに4種類に大別できます。本章では、分かりにくい種類ごとの役割をパソコンを例に解説します!

    半導体とは?種類や役割、使用例などを簡単にわかりやすく解説

    半導体デバイスの種類

    ディスクリートとは

    ディスクリートとは、トランジスタやダイオードなどの基本的な電子部品の一種で、特定の機能に特化した単一の機能を持つ半導体です。

    ディスクリート(discrete)は、英語で「個別の」「分離した」という意味を持ちます。半導体分野でのディスクリートは、特定の機能に特化した単一の半導体を指します。信号の増幅や電力の制御など多岐にわたる機能を持ち、民生用機器から産業用途まで幅広く使用されているため、人間の体で例えると心臓部ともいえるでしょう。
    ディスクリートの代表例として、電流を一定に保つ機能を持つダイオードや、電気信号の増幅やスイッチングを行うトランジスタなどが挙げられます。これらは、電子機器の基本的な動作を支える重要な役割を果たします。また、よく耳にする「パワーデバイス」もディスクリートに含まれます。パワーデバイスは電力の制御と変換に使用され、電源回路を持つ全ての電子機器に搭載されています。高電圧、大電流に対応するパワーデバイスでは、近年、基板材料がシリコンよりも電気抵抗が低く、高電圧、大電力にも耐えられるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの種類へと置き換わる動きが加速しています。

    IC(集積回路)とは

    ICは、様々な電子部品を1つのチップ上に集積したものを指し、目的に基づいてアナログIC・ロジック・メモリーなどのタイプに分類できます。

    Integrated Circuitの頭文字を取って「IC」と呼ばれています。日本語では「集積回路」と呼ばれ、複数のトランジスタやダイオードなどの複雑な機能性を持たせたものを一つのチップ上に集積させたものを指します。
    ICには機能によってロジック、メモリ、アナログなどに分類できます。
    ロジックはデータの処理・演算、機器の制御などを行う「頭脳」の役割を担っており、パソコンではその中で司令塔的な存在がCPUとなります。メモリは作業内容を一時的に保管するDRAM(短期記憶)と、電源を切っても保存し続けるNAND(長期記憶)を行う、記憶の頭脳の役割を果たしています。アナログは光や音などの非連続的な電気信号を処理・制御するための半導体を指し、人間の「感覚器官」の役割を果たしています。


    センサとは

    センサーは、半導体材料を用いて物理量を電気信号に変換するものを指し、圧力センサーやサーミスタ、磁気センサーなどが挙げられます。

    センサは、特定の物理的、化学的な現象を測定し、その情報を電気信号やデータに変換して出力するデバイスです。人間が五感で感じる現象の中には、言葉で表現しづらい感覚(味覚や臭覚などの定量化が困難な物理量)もありますが、センサは人間の能力をはるかに上回る情報収集能力を実現しています。
    代表的な例として、圧力センサは、気体や液体の圧力を計測するのに使用され、圧力の変化を電気信号に変換し、その値を読み取ることができます。温度センサーとして用いられるサーミスタは、温度が変化することでその抵抗が変わり、それに基づいて温度を測定します。他にも、位置情報や方向、磁場の変化を検知するのに用いられる磁気センサなども挙げられます。

    オプトエレクトロニクスとは

    oオプトエレクトロニクスとは、光と電子技術の融合で、通信やセンサーなどに応用され、発光デバイスのLEDや受光デバイスのCMOSセンサーなどが挙げられます。

    オプトエレクトロニクスとは、Opto(光学)とElectronics(電子工学)の相互作用を利用する技術であり、電気を光に変換する発光デバイス、光を電気に変換する受光デバイスに分類され、その双方を光半導体とも呼びます。
    発光デバイスの代表例としてLEDが挙げられ、受光デバイスの代表例としては、カメラのレンズ部分から取り込んだ光を電気信号に変換するCMOSセンサが挙げられます。




    いかがでしたでしょうか。パソコンを構成する部品を半導体の種類ごとに分け、役割を分かりやすく解説しました。パソコンにこれだけ多くの半導体が使われ、またその半導体の進化がパソコンの性能向上に貢献していることを改めて感じます。このように、半導体デバイスは私たちの生活を支えるための重要な役割を果たしており、それぞれが特定の機能を持っています。半導体についての理解を深めることで、現代のテクノロジーの基盤をよりよく知ることができるでしょう。