モータ雑学第2回(各国の高効率化の動向)
- 社会インフラ部門
第2回目は、各国の高効率化の動向についてのお話です。
1.海外における低圧モータの高効率化
CO2削減、省エネルギー施策が進められているなか、世界各国で国際規格IEC60034-30をベースに最低エネルギー効率規制(MEPS:Minimum Energy Performance Standard)を定め法制化の動きを進めています。
開始時期や対象機器、罰則規定の有無など制度の内容は国によって様々です。
2.各国の高効率規制の対象範囲
各国における高効率規制の対象範囲は以下の表の通りです。国によっては独自の認証制度を設けており、単にモータ効率を満たすだけではなく、それぞれの国の定められた認証機関へ申請を行い、正式な認証を取得する必要があります。
※日本電機工業会(JEMA)のホームページに掲載の低圧モータ |
表示義務は高効率基準を満たすことを示すラベルの貼付や銘板に効率値を表示することです。
また、認定取得や表示義務に従わない場合は罰金などのペナルティが製造メーカーや輸入業者に課せられる可能性がありますので注意が必要です。
3.各国のモータ効率の規制化動向
以下の表は、主な国における高効率規制化の変遷です。開始時期は異なりますが表中の国ではIE3(プレミアム効率)が基準となっています。 また、直近では23年7月より欧州にて対象出力75kW以上200kw以下のモータを対象にIE4(スーパープレミアム効率)の法制化 がスタートしました。
従来IE4を満足するにはローター部分に永久磁石を埋め込んだ構造をもつ永久磁石同期モータ(PMモータ)を専用インバータで制御する必要がありました。PMモータは高トルク・高効率性能を得ることができる一方で、導入費用が大きくなります。
東芝三菱電機産業システム㈱は国内初となるIE4基準を達成した誘導モータを2023年4月に発売しました。
誘導モータのため、インバータの制御を必要とせず運転が可能となり利用シーンが大きく広がります。
詳細は第3回高効率モータの種類で説明いたします。
日本電機工業会(JEMA)のホームページに世界の高効率規制に関する情報が掲載されています。
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/imotor.html
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