モータ雑学第1回(モータ効率化の背景)
- 社会インフラ部門
第1回目の今回は、モータ効率化の背景についてのお話です。
1.持続可能な社会に向けての取り組み
産業革命以降、温室効果ガスの排出量の急激な増加は気候変動を引き起こし、世界中で深刻な影響を与えつつあります。
地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代の要求を満たすような
開発を行う取り組みが世界で広がっています。
①SDGsが2015年9月25日に国連総会で採択され、持続可能な開発のために2030年までに達成するべき17の国際目標と169の達成基準が示されました。
目標13-2:気候変動への対応を、それぞれの国が、国の政策や、戦略、計画に入れる。
②2020年10月政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
2.モータの高効率化
モータは電気エネルギーを回転エネルギーに変換し、機械を動かす動力源です。
ファン、ポンプ、コンプレッサなどに使用され工場やプラントに欠かすことのできない産業の原動力であり、その消費電力量は
世界の消費電力量全体の40~50%を占めていると言われてます。
モータはその原理から電力を動力に変換するプロセスではエネルギー損失が生じますが、この損失を低減することによる、
省エネ効果はきわめて大きいと期待されています。
3.トップランナー方式
「トップランナー方式」とは、日本国内に出荷される製品の省エネルギー基準を現在商品化されている最高のエネルギー消費効率以上に定める方式のことです。
2015年度には、モータの97%がIE1(標準効率)レベルでしたが、現状、毎年出荷されるモータの約70%がIE3(プレミアム効率)レベルに切り替わっています。
トップランナー化により、それらが全てIE3(プレミアム効率)に置き換えられたとすれば、電力削減量は全消費電力量の約1.5%に相当する155億kWh/年間になると試算されており、極めて大きな省エネ効果が期待できます。
注)IE1、IE3とはIEC規格の効率レベルを示す記号で効率の高さは下のグラフの通りIE1<IE2<IE3です。
出典:日本電機工業会 トップランナーモータ(2016) |
出典:日本電機工業会 トップランナーモータ(2016) |
4.さらなる高効率化を目指して
東芝産業機器システム㈱、東芝三菱電機産業システム㈱では、IE3(プレミアム効率)をさらに上回るIE4(スーパープレミアム効率)、IE5(ウルトラ効率)モータの開発に取り組んでいます。
また、世界各国においても高効率の法制化が進んでいます。
第2回目は、各国の高効率化の動向について紹介いたします。
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