2025.03.27

自然由来の力で差をつける!ヘアケア製品開発のヒント

  • マテリアル部門

自然由来成分がヘアケア製品で改めて注目を集めています。その理由は、消費者の健康志向や環境意識の高まりにあります。化学合成成分に対する不安から、「髪や頭皮に優しいものを使いたい」という声が増えています。例えば、敏感肌の方でも安心して使える製品を求める傾向が強まり、自然由来成分はそのニーズにしっかり応えられるのです。さらに、SDGs(持続可能な開発目標)が企業活動でも重視される中、環境に配慮した原料選びがブランド価値を高める要素になっています。今回は、ヘアケア製品の開発に役立つ自然由来原料・成分について詳しく解説します。

目次

    自然由来成分とは?

    自然由来成分の概要

    自然由来成分とは、植物や鉱物、動物から取れた原料をベースに、化学合成を最小限に抑えて作られた成分のことです。ヘアケア製品開発者の方にとって、消費者の健康志向や環境意識に応えつつ、製品に独自性を持たせられるため、重要な要素となります。化学合成成分では出せない独特のテクスチャーや香りで、使用感に差をつけ、ブランドの個性を際立たせることができます。さらに、SDGsが重視される今、持続可能な資源活用が求められており、自然由来成分は企業の社会的責任を果たす手段としても価値があります。

    自然由来成分の特徴hair_care_1

    自然由来成分の強みは、頭皮や髪に優しいだけでなく、製品に個性を持たせられる点にあります。例えば、「Somacy-CL001」は発酵技術で抽出した修復成分で、ダメージヘアのケアに最適です。一方、トコトリエノールは髪のエイジング対策に効果的で、高価格帯を狙えます。こうした特性をしっかり把握すれば、消費者のニーズに刺さる製品が作れます。

    自然由来成分だけでは差別化は難しい?

    とはいえ、自然由来成分を採用するだけでは、競合との差別化は不十分です。市場を見渡すと、多くのブランドが「オーガニック」や「ナチュラル」を掲げており、消費者にとっても自然由来は特別な驚きではなく、むしろ標準的な選択肢になりつつあります。例えば、ココナッツオイルやアルガンオイルのような定番成分はすでに広く使われていて、これらをただ配合するだけでは「またか」という印象を与えてしまうかもしれません。自然由来というカテゴリー自体が飽和状態にある今、開発者には「その先」が求められています。


    際立つ特徴があってこそメリットになる

    自然由来成分の中でも「際立って特徴のあるもの」でないと、メリットを最大限に引き出せません。では、どんな成分が「際立つ」のかというと、以下のようなポイントが考えられます。

    【独自の効果】
    例えば、免疫ビタミン「LPS」を主原料とした化粧品原料「Somacy-CL001」のように発酵技術でダメージ修復を強化する成分は、他では真似しにくい効果を持っています。
    ※LPS:リポポリサッカライド(グラム陰性細菌が有する成分)

    LPS原料に使用されている菌

    小麦パントエア菌 稲パントエア菌 林檎パントエア菌
    小麦パントエア菌
    (学名:Pantoea agglomerans)

    稲パントエア菌
    (学名:Enterobacter asbriae

    林檎パントエア菌
    (学名:Pantoea vagans)

    ※自然免疫応用技研株式会社 https://www.macrophi.co.jp/seihin/index.html

    【科学的裏付け】
    保湿力や抗酸化作用を数値で証明できれば、信頼性が上がり、消費者に「効く」と感じさせられます。

    【希少性やストーリー】茶ノ実油
    特定の地域でしか採れない原料や、伝統的な抽出方法で作られた成分は、ブランドに個性と付加価値を与えます。

    こうした特徴を持つ成分を選べば、自然由来という枠を超えて、競合に対して明確な優位性を持たせられます。例えば、茶ノ実油(右図)は抗酸化作用が強力ですが、それに加えて「日本由来の伝統的な素材」というストーリーを打ち出せば、さらに魅力が増します。

    差別化には工夫と戦略が不可欠

    自然由来成分を活かすには、単に取り入れるだけでなく、戦略的なアプローチが必要です。

    【独自の組み合わせ】
    リムベールとトコトリエノールを組み合わせれば、保湿とエイジングケアを同時に叶える製品が作れます。他社がやっていない配合で差をつけることがポイントです。

    【ターゲットを絞る】
    敏感肌向け、ダメージヘア向けなど、特定のニーズに特化すれば、自然由来の中でも「このブランドならでは」の印象が強まります。

    【使用感で勝負】
    自然由来の香りやテクスチャーを活かして、他社とは違う「使う喜び」を提供できれば、消費者の記憶に残ります。
    つまり、自然由来成分は「素材」として優れていても、それだけでは勝負にならない時代です。際立つ特徴を持つ成分を選び、それをどう活かすかの工夫があって初めて、競合との差別化やメリットにつながります。

    まとめ

    自然由来が当たり前になった今、開発者には「次のステップ」が求められています。例えば、弊社取り扱いの自然由来原料ラインナップ(こちら)から、希少性や独自性のある成分を見つけ、科学的データやストーリーを組み合わせた製品開発に挑戦してみてください。自然由来を「ベース」にしつつ、そこに「プラスアルファ」の価値を乗せることで、消費者の心をつかみ、競合をリードできるはずです。

    ※掲載製品は弊社取扱いのうちの一部です。その他製品につきましてはお気軽にお問い合わせください。