2025.03.04

一次電池と二次電池の違いとは?

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電池は私たちの生活に欠かせないエネルギー源であり、用途に応じて「一次電池」と「二次電池」が使い分けられています。しかし、その種類や特性を理解している人は意外と少ないかもしれません。本記事では、一次電池と二次電池の基本的な違いと、それぞれの特徴を活かした最適な利用方法について詳しく解説します。

目次

    一次電池と二次電池の違い

    特徴 一次電池 二次電池
    充電の可否 使い切り、再充電不可 繰り返し充電可能
    寿命 一度使用すると終了 長期間使用可能、充電回数により寿命が変動
    代表的な種類 アルカリ電池、リチウム電池 リチウムイオン電池、ニッケル水素電池
    用途 リモコン、懐中電灯、時計など スマートフォン、パソコン、電動工具
    コスト 初期コストが低い 初期コストは高いが、長期的に経済的
    環境への影響 使い捨てなので廃棄が問題 繰り返し使えるため環境負荷が低い
    エネルギー密度 比較的低い 高い
    放電特性 一度放電すると使用不可 徐々にエネルギーを放出、再充電が可能

    電池は主に一次電池と二次電池に分類され、それぞれ異なる特性と用途を持っています。一次電池は使い切りタイプで、放電が完了すると再充電できないため、再利用できません。アルカリ電池やリチウム電池がこのカテゴリーに含まれ、リモコンや懐中電灯など、頻繁に交換が必要なデバイスに適しています。一方、二次電池は充電可能で、何度も繰り返し使用できるのが特徴です。リチウムイオン電池やニッケル水素電池が代表例であり、スマートフォンやノートパソコン、電動工具など、充電が可能なデバイスに広く利用されています。充電サイクルの耐久性やエネルギー密度といった性能面での違いもあり、選択する際には使用目的に応じた特性を考慮することが重要です。一次電池は低コストで手軽に利用できる一方、二次電池は長期的なコスト削減や環境負荷の低減に貢献します。用途に応じて適切な電池を選ぶことで、効率的かつ経済的なエネルギー利用が可能となります。これらの特性を理解することで、電池選びやエネルギー管理の改善に役立てることができます。

    アルカリ電池の特徴と用途

    形状は円筒状で、負極の材料には亜鉛、正極の材料には二酸化マンガン、中央に集電体、正極と負極を絶縁させるためにセパレータが設けられています。

    アルカリ電池は、一次電池として最も一般的に使用されるタイプの電池の一つです。この電池は、亜鉛と酸化マンガンを主成分とし、電解液にアルカリ性の水酸化カリウムを使用しています。この組成により、アルカリ電池は優れたエネルギー密度と長持ちする放電時間を提供します。また、低温環境でも比較的安定して動作するため、さまざまな気温条件で使用可能です。
    アルカリ電池のもう一つの大きな特徴は、そのコストパフォーマンスの高さです。製造コストが比較的低く、長期間にわたって使用できるため、一般家庭用の電池として広く普及しています。具体的な用途としては、リモコン、時計、懐中電灯、玩具、携帯ラジオなど、日常生活の中で頻繁に使用されるデバイスでの利用が挙げられます。特に、頻繁に電池を交換する必要のあるデバイスにおいて、その長寿命性が大きな利点となります。
    ただし、アルカリ電池は使い切りタイプの電池であり、充電して再利用することはできません。そのため、環境への配慮が求められる今日においては、廃棄時のリサイクルや適切な処理が重要となります。使用後は、地域のリサイクル指針に従って処分することが推奨されています。アルカリ電池は、その多用途性と信頼性により、多くの家庭やオフィスで欠かせない存在となっていますが、持続可能な使用方法を考慮することが今後の課題です。

    リチウム電池の特徴と用途

    リチウム電池の仕組み図。左は「ボビン構造」(高エネルギー電流)、右は「スパイラル型」(高出力型)。

    引用元:サフト社・セレクターガイド

    リチウム電池は過去から半導体メモリのバックアップやカメラのストロボ用などに特に多く使用され、火災報知器やスマートメーターやIoT機器などは数年間電池を取り替えることなく安定した電源として使えるリチウム電池が用いられております。 マイナス極材料にリチウム金属を使っている一次電池が、リチウム一次電池です。リチウムはイオン化傾向が大きいために高い電圧の電池を作ることができますが、水溶液の電解液を使うことができません。そこで、リチウムイオンを含む有機溶液を電解液として使います。プラス極としては、二酸化マンガン(C)、フッ化黒鉛(B)、塩化チオニル(E)などが使われます。現在では、安価な二酸化マンガンを使った3Vの電池が主流となっています。形状はコイン形と円筒形のタイプがあります。コイン形の電池は時計や電卓などに使われます。円筒形は、アルカリ乾電池のようなボビン構造の電池と薄いシート状にした電極を渦巻き状に巻いたスパイラル構造の電池があります。
    リチウム電池もアルカリ電池と同様、使い切りタイプの電池であり、充電して再利用することはできません。そのため、環境への配慮が求められる今日においては、廃棄時のリサイクルや適切な処理が重要となります。使用後は、地域のリサイクル指針に従って処分することが推奨されています。リチウム電池は、容量と信頼性により、多産業機器で欠かせない存在となっていますが、アルカリ電池同様、持続可能な使用方法を考慮することが今後の課題です。

    リチウムイオン電池の特徴と用途

    正極にリチウム遷移金属複合酸化物、負極に炭素材料、電解質に有機溶媒などの非水電解質を用いるリチウムイオン電池の構造

    リチウムイオン電池は、現在の携帯電話やノートパソコン、電気自動車など多くの電子機器で広く使用されている二次電池の一種です。その最大の特徴は、エネルギー密度が高く、軽量であることです。これにより、小型化や高容量化が求められるデバイスに最適な選択肢となっています。また、自己放電率が低いため、長期間使用しない場合でも電力を保持しやすいという利点があります。
    さらに、リチウムイオン電池はメモリー効果がほとんどないため、充電のタイミングに気を遣う必要がなく、ユーザーにとって使い勝手が良いと言えるでしょう。これらの特性から、スマートフォンやラップトップ、デジタルカメラなどの日常的なデバイスはもちろん、電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電装置など、より大規模な用途にも適しています。
    一方で、リチウムイオン電池は過充電や過放電に弱く、適切なバッテリーマネジメントシステム(BMS)が必要とされます。また、高温にさらされると劣化が進むため、使用環境にも注意が必要です。このため、製造時には安全性を確保するための様々な技術が組み込まれています。リチウムイオン電池は、その利便性と効率性から、今後も多くの分野で利用が拡大すると考えられていますが、使用上の注意点を理解することが重要です。

    ニッケル水素電池の特徴と用途

    正極にニッケル酸化化合物、電極に水素化合物を用い、電解液に濃水酸化カリウム水溶液 (KOH (aq)) などのアルカリ溶液を用いる構造

    ニッケル水素電池は、リチウムイオン電池に次ぐ人気を誇る二次電池の一つとして広く利用されています。この電池は、ニッケルカドミウム電池の欠点を克服し、より環境に優しい選択肢として注目されています。最大の特徴は、繰り返し充電が可能でありながら、カドミウムを使用しないため、環境負荷が低い点です。さらに、メモリー効果が少なく、長期間使用しても容量の低下を抑えられるため、信頼性が高いです。
    用途としては、家庭用の充電式機器、デジタルカメラ、携帯用ゲーム機、リモコンなど、乾電池の代わりになり充電して繰り返し使用できます。特に、容量が大きく、放電特性が良好であるため、さまざまなデバイスにおいて長時間の使用が可能です。
    この電池のもう一つの利点は、急速充電に対応していることです。充電時間を短縮できるため、時間に制約がある状況でも便利に使えます。しかし、自己放電率がやや高めであるため、長期間使用しない場合は、保管時の放電に注意が必要です。適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり安定した性能を発揮できます。ニッケル水素電池は、コストパフォーマンスにも優れ、幅広い用途で活躍する電池として、今後も多くの場面で利用され続けるでしょう。

    一次電池と二次電池の特性を理解し、用途に応じた最適な選択をすることが重要ですが、特にコスト効率や環境負荷を考慮すると、二次電池の利点は大きいです。
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